9ヶ月頃になると好き嫌いが出てきたり、遊び食べが始まったりする子もいます。自我が育っている証拠なので、赤ちゃんの成長を見守ってあげましょう。
離乳後期は『バナナくらいの固さの食べ物を、カミカミしながら歯ぐきでつぶして食べられるようになる時期』です。鉄が不足しやすい時期なので、赤身の魚や肉、ほうれん草など鉄分を含んだ食材を取り入れましょう。また、手づかみ食べも始まります。しっかりと手づかみ食べをさせて、食べる意欲を育てましょう。月齢の目安としては生後9~11ヶ月頃ですが、赤ちゃんのペースに合わせて進めていきましょう。
この記事では、中期から後期にステップアップするタイミングや、食材の固さや大きさなど調理のポイント、食べられる食材や1食の量、1日のスケジュール例などを紹介します。
バナナくらいの固さの食べ物を、カミカミしながら歯ぐきでつぶして食べられるようになる時期
- 回数は1日3回
- 離乳食からの栄養は6~7割
- 決まった時間に食事をとり、食事のリズムをつける
- 鉄、カルシウムを意識してとる
- 手づかみ食べで食べる意欲を育てる
- 大人からの取り分けメニューを活用する
後期へ進む目安
9~11ヶ月になり、赤ちゃんに次のような様子が見られるようになったら、後期に進むサインです。
丸飲みの原因にもなるので、食べる時に口が動いているかしっかり観察しましょう。まだ少し早いかなと思ったら、もう少し現状のまま続けて大丈夫です。月齢にとらわれず、赤ちゃんの様子を見ながら進めていくことがポイントです。
調理のポイント
調理形態(大きさ・固さ)
<固さ> バナナくらい(歯ぐきでつぶせる固さ)
<大きさ> 前半: 4~5mm角くらいの角切り
後半: 7mm角くらいの角切り、1cm角×3~4cm長さのスティック状
この時期の固さの目安は、指でつぶせるバナナくらいの固さです。舌は前後、上下、左右に動くようになり、歯ぐきでつぶして食べます。やわらかすぎてもかたすぎても丸飲みの原因になってしまうので、カミカミできているか口の動きを確認しましょう。急にかたくなりすぎないように気を付けましょう。
にんじんのような根菜類は皮をむいてやわらかくゆで、4~5mm角くらいの角切りにします。慣れてきたら7mm角くらいまで少しずつ大きくしていきましょう。薄いいちょう切りに切るのもいいですよ。
少し食感を残したり、食材によって切り方を変えたりすることで、噛む練習にもなります。パンや根菜類などは1cm角のスティック状に切って、手づかみ食べさせるのもおすすめです。
調理方法・味付け
ゆでる、煮る、蒸すという加熱方法に加えて、後期になると油も使えるようになるので、炒めたり、焼いたりとメニューの幅も広がります。いろいろな調理法で献立に変化をつけましょう。パンケーキやハンバーグを手づかみ食べのメニューとして取り入れるのもおすすめです。
後期になると、ケチャップ、マヨネーズ、バターなども少量使えるようになります。素材の味を大事にし、調味はほんのり味がする程度です。大人の1/5程度を心がけましょう。
ケチャップには塩分や添加物が含まれているので、大人の料理を取り分けた分くらいにしましょう。赤ちゃん用であれば、トマトピューレでも十分です。
マヨネーズは生卵を使用しているので必ず加熱してから使用します。生ものであり、脂肪分も多いので使う場合はごく少量にしましょう。
食べられる食材
初期、中期に食べられる食材に加えて、後期になると次のような食材を食べられるようになります。
炭水化物
ビーフン、フランスパン、春雨、ホットケーキ等
おかゆは5倍がゆが目安です。慣れてきたら、徐々に水分を減らし、5倍がゆ→3倍がゆ→軟飯にしていきます。
ビタミン・ミネラル
れんこん、ごぼう、もやし、ひじき、寒天、きのこ類等
鉄分が不足しやすい時期なので、鉄分が豊富な食材を積極的に取り入れましょう。野菜スティックは手づかみ食べに最適です。
たんぱく質
たら、青背魚(あじ、いわし、さんま、ぶり等)カキ、あさり、しじみ、牛肉(赤身)、豚肉(赤身)、スライスチーズ、クリームチーズ等
たらは白身魚ですが、アレルギーの心配があるので後期以降がよいでしょう。脳の発達を促すDHAが豊富な青背魚も食べられるようになります。レバーや赤身肉で鉄分を摂りましょう。
1食あたりの目安量
離乳後期の目安量 | ||
---|---|---|
炭水化物 | 5倍がゆ | 5倍がゆ90g→軟飯80g |
ゆでうどん | 1/3玉(60g)→1/2玉(90g) | |
食パン | 8枚切1/2枚(25g)→8枚切2/3枚(35g) | |
いも類 | 30~40g | |
ビタミン・ミネラル | 野菜・果物 | 30〜40g |
たんぱく質 | 魚・肉 | 15g |
豆腐 | 45g | |
納豆 | 20g | |
卵 | 全卵1/2個 | |
乳製品 | 80g |
食材別の1回あたりの目安量は上の表の通りです。いずれか1種類の食材を選んだ場合の量なので、2種類の食材を使うときにはそれぞれ1/2量にするなど調節します。
全部合わせて子ども用茶わん1杯弱~1杯強くらいが目安です。3回目の食事は1/3量から始め、徐々に増やしていけるといいでしょう。
離乳食の回数と1日のタイムスケジュール例
離乳食:1日3回
授乳:母乳は赤ちゃんが欲しがるだけ、ミルクは食後(3回)+2回の計5回が目安
朝・昼・夜の1日3回食になります。3回目は就寝時間が遅くならないよう、19時までには食べさせましょう。離乳食と次の離乳食の間は3~4時間あけるとおなかが空いてスムーズに食べてくれますよ。
また、授乳と次の離乳食は2時間以上あけましょう。3食を食べることに慣れてきたら、少しずつ食事の間隔をあけて、大人の食事リズムに近づけていきましょう。
栄養バランスと献立のポイント
栄養の半分以上を離乳食からとる
栄養の半分以上を離乳食からとるようになるので、栄養のバランスが大切になってきます。炭水化物、たんぱく質、ビタミン・ミネラルの3つの栄養素からバランスよく食材を選び、主食、主菜、副菜(汁物)で2~4品を目安に考えます。
調味料で味に変化をつけたり、手づかみ食べメニューも加えたりして、献立の幅を広げましょう。とは言っても、赤ちゃんには食べむらもありますし、毎食栄養バランスを気にして離乳食を作るのは大変ですよね。「昨日は野菜が少なかったから、今日は野菜を多めに使おう」などと、栄養バランスは2~3日単位で考えるといいですよ。
離乳食の量が増えるにつれ、母乳やミルクの量が減っていきます。離乳食後はほしがるようであれば、母乳やミルクを与えましょう。母乳は赤ちゃんが欲しがるだけ、ミルクは1日4~5回、合計400~1000ml前後が目安です。
鉄分を意識してとる
9ヶ月頃になると鉄分が不足しやすくなります。鉄分が多く含まれる食材を積極的に取り入れましょう。赤身の魚や肉、レバー、ほうれん草、小松菜、卵、大豆製品などに鉄分がたくさん含まれています。レバーは調理が大変なので、ベビーフードを利用するのがおすすめです。
手づかみ食べをする
手づかみ食べは自分で食べる意欲の表れであり、スプーンやフォークが上手に使えるようになる練習です。手づかみ食べをすることによって、ひと口で食べられる量や口までの距離感、どのくらいの力で握ればいいかなどを覚えていきます。
汚れることを気にするかもしれませんが、床に新聞紙やビニールシートを敷くなどの工夫をすれば片付けも簡単です。メニューの中に手づかみ食べしやすい野菜スティックやスティック状に切った食パンなどを用意するといいですよ。
取り分け離乳食を活用する
後期になると、大人の食事からの取り分け離乳食ができるようになります。赤ちゃんのためだけに作ることが減るので、離乳食作りが少しラクになるかもしれませんよ。味付けする前のものや薄味のものを取り入れて、食品の種類や調理方法を増やしていきましょう。