【令和3年4月介護報酬改定】栄養マネジメント強化加算を算定する方法は?

栄養業務サポート

令和3年(2021年)4月より、介護報酬が改定されました。

これに伴い栄養管理に関する加算の算定内容も変更されています。

 

ここでは施設サービスにおける栄養ケアに関する加算の変更点を紹介し、

新設された「栄養マネジメント強化加算」の具体的な算定方法を解説します。

 

(更新)LIFEへの登録方法はこちらで解説しています。

 

 

介護報酬改定での変更点

 

令和3年4月より介護報酬改定のうち、栄養管理に関する改正内容は以下の通りです。

 

(1)栄養ケア・マネジメントの見直し(未実施による減算)

令和3年3月まで(旧)栄養マネジメント加算として14単位/日
令和3年4月より(新)・運営基準として栄養士または管理栄養士を1以上配置。
 
・これまでの栄養マネジメント加算を包括化。 
「入所者の栄養状態の維持及び改善を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行わなければならない」
 
・栄養管理の基準を満たさない(栄養ケア・マネジメントを実施していない)場合、14単位/日減算

※3年の経過措置期間あり

これまで栄養マネジメント加算の算定条件に基づいた栄養管理を実施することで加算を算定していましたが、

改定後は「栄養マネジメントは基本に実施し、むしろ実施していないと減算」となりました。

 

(2)低栄養リスク改善加算(廃止)

令和3年3月まで(旧)300単位/月
令和3年4月より(新)廃止

低栄養リスクが高い方への栄養ケアに関する低栄養リスク改善加算は廃止となりました。

代わりに栄養マネジメント強化加算が新設されています。

 

(3)経口維持加算(変更)

令和3年3月まで(旧)経口維持加算(Ⅰ)400単位/月
経口維持加算(Ⅱ)100単位/月

当該計画が作成された日に属する月から起算して6月以内の期間に限り算定。
令和3年4月より(新)経口維持加算(Ⅰ)400単位/月
経口維持加算(Ⅱ)100単位/月

原則6月とする算定期間の要件を廃止。

経口により食事を摂られているが、摂食機能障害があり誤嚥が認められる方に対して経口摂取を維持するためのケアに対する加算ですか、

これまで6月以内の算定であったところ、改定後は算定期間が廃止されました。

 

(4)再入所時栄養連携加算(変更)

令和3年3月まで(旧)400単位/回
・栄養マネジメント加算を算定していない場合は算定しない。
令和3年4月より(新)200単位/回

施設入所者が病院等への入退院に伴い、以前の栄養管理とは大きく異なった栄養管理を必要とする場合、

病院等との管理栄養士と連携して栄養ケア計画を策定し栄養管理をおこなった時の加算です。

これまでは加算算定条件に栄養マネジメント加算の算定が必須でしたが、

改定後は栄養マネジメントの実施が基本となったため、再入所時栄養連携加算の算定条件に明記されなくなりました。

また、単位数も200単位/回に変更されています。

      

(5)栄養マネジメント強化加算(新設)

令和3年3月まで(旧)
令和3年4月より(新)11単位/日

・配置基準として、管理栄養士を常勤換算で入所者を50で除して得た数以上配置。
(施設に常勤の栄養士を1人以上配置し給食管理(※1)を行っている場合は、入所者を70で除して得た数以上配置。)
 
・ 原則として入所者全員を対象として算定する。

・低栄養状態のリスクが高い入所者に対し、医師、管理栄養士、看護師等が共同して栄養ケア計画を作成する

・栄養ケア計画に従い週3回以上食事の観察(ミールラウンド)を実施し、入所者ごとの栄養状態や嗜好等を踏まえた食事の調整を行う。

・低栄養状態のリスクが低リスクに該当する者については、ミールラウンドで食事の状況を把握し、問題点がみられた場合は、速やかに関連する職種と情報共有し、必要に応じて栄 養ケア計画を見直し、見直し後の計画に基づき対応する。

入所者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出する。

・継続的な栄養管理の実施に当たって、当該情報その他継続的な栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用している。

栄養マネジメント強化加算は今回の改正で新設された加算です。

 

(※1)「給食管理」とは、給食の運営を管理として行う、調理管理、 材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理及び労働衛生管理を指します。

なお、給食運営を委託している場合は、委託先の管理栄養士は加算算定の人員の数に含めることはできません。

 

 

(補足)管理栄養士の人員算出について

管理栄養士の人数の算出は、1ヶ月間での勤務延時間数を、常勤職員の勤務時間で除したものとします(小数点第2位以下は切り捨てです)。

また、人員の不足が生じた場合の取り決めとして、「やむを得ない事情により 配置されていた職員数が一時的に減少した場合は、1月を超えない期間内に職員が補充されれば、 職員数が減少しなかったものとみなす」とされています。

 

 

具体的な算定方法は以下で解説します。

 

 

栄養マネジメント強化加算の算定方法

 

栄養マネジメント強化加算は、原則として入所者全員を対象として算定します。

   

栄養マネジメント強化加算算定におけるポイントは

  • 多職種との連携
  • 週3回以上のミールラウンド
  • LIFEへのデータ登録と活用

です。

 

ポイント① 多職種との連携

栄養マネジメント強化加算はこれまでの栄養マネジメント加算と同様に医師や看護師等の多職種と共同して計画を作成することが算定要件です。

栄養ケア計画に多職種での協議内容を反映させ、共同して計画を作成しましょう。

 

ポイント② 週3回以上のミールラウンド

これまでの栄養マネジメント加算でも、定期的に入所者のモニタリングをおこなうことが算定要件でしたが、

今回の栄養マネジメント強化加算では「週3回以上食事の観察(ミールラウンド)を実施する」ことが具体的に定められました。

 

具体的にミールラウンドで入所者の「栄養状態」、「食事摂取量」、 「摂食・嚥下の状況」、「食欲・食事の満足感」について評価し、「嗜好を踏まえた食事」への調整や、「姿勢、食具、食事の介助方法等の食事環境」への整備を行うことと定められています。

ミールラウンド実施は介護記録として記録し、食事の調整についても記録し栄養ケア計画に反映させましょう。

 

また、ミールラウンドは基本的に管理栄養士が行うことと定められていますが、例外としてやむを得ない事情により管理栄養士が行えない場合は、他の職種の者が実施することも差し支えないとされています。

その場合は、ミールラウンドの結果を管理栄養士に報告し記録しておきます。

 

なお、『低栄養状態のリスクが低い入所者にも、食事の際に変化を把握し、問題がある場合に早期に対応する』となっているため、

低栄養状態のリスクが低い入所者に対してもミールラウンドを実施し早期に対応するようにしましょう。

 

ポイント③ LIFEへのデータ登録と活用

栄養マネジメント強化加算を算定するにはLIFEへの登録と活用が必須です。

LIFEとは厚生労働省が運用する 科学的介護情報システム(Long-term care Infomation system For Evidence)というwebシステムのことです。

これまで運用されていたCHASE(科学的介護データ提供連携サービス)とVISIT(通所・訪問リハビリテーションデータ収集システム)がこの度統合されLIFEとなりました。

 

具体的に栄養マネジメント強化加算の算定要件のうちLIFEを使った方法をみてみます。

(1)『入所者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出する』

 

栄養マネジメント強化加算は、新様式の「栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング」のデータ提供が加算算定の要件となっています。

 

LIFEのwebサイト上で、「栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング」のデータを直接入力し提出する方法と、

介護ソフトに入力した「栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング」のデータを、CSV形式に変換しLIFEへ連携して提出する方法があります。

 

 

データの提出期限はサービス提供月の翌月10日までです。

 

 

(2)『継続的な栄養管理の実施に当たって、当該情報その他継続的な栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用している』

 

LIFEのフィードバック機能を活用して、栄養ケアのPDCAサイクルを推進し、栄養ケアの向上を図ることが要件となっています。

サービス提供月の翌月中に、LIFEのwebサイトを通じてデータのフィードバックが実施されます。web上にPDF形式にて表示されるので、それをダウンロードして使用するとのことです。

 

その内容を栄養ケア計画に反映させてPDCAサイクルに基づいた栄養ケアをおこないましょう。

 

 

 

今回の改定で管理栄養士に求められること

 

今回の介護報酬の改正において介護現場における管理栄養士の担う役割がより重要視されました。

 

ひとつは栄養管理に関する介護報酬が「栄養ケア・マネジメントを充実させ、被介護者への栄養管理体勢を拡充する」に方向に改正されたためです。

栄養マネジメントの未実施が減算対象となったことから、管理栄養士が主体となって実施する栄養管理が当たり前に実施されるように整備され、より管理栄養士の必要性が高くなりました。

 

もうひとつは他の加算においても「多職種連携における管理栄養士の関係の強化」が図られたためです。

今回より看取り介護加算やターミナルケア加算、褥瘡マネジメント加算などの算定要件において、関与する専門職として管理栄養士を明記することとなり、より管理栄養士の視点も踏まえてケアすることの重要性が強調されました。

 

また栄養マネジメント強化加算という新設の加算によって、栄養のプロである管理栄養士を中心に強化的に栄養管理を行うことが重要とされました。

 

以上より今回の介護報酬改定で管理栄養士に期待される役割がより拡充されました。

改正の期待に応えられるよう、お互いこれからも頑張っていきましょう。

 

 

まとめ

○栄養マネジメント強化加算が新設

○栄養マネジメント強化加算は「医師との連携」、「週3回以上のミールラウンド」、「LIFEへのデータ登録と活用」が算定条件のポイント

○介護報酬の改正により管理栄養士の役割がより大きくなった

 

 

居宅・通所サービスの栄養ケア関連は以下をご確認ください。

 

「認知症の方向けの食事支援」や「高齢者向けのダイエット方法」、「高齢者向けの栄養補助食品の紹介」など、高齢者の方向けの食事や栄養についてこちらにまとめています

タイトルとURLをコピーしました