「離乳食を始めたい」「どのくらい子どもに食べさせたらいいか知りたい」
赤ちゃんにとって「食べる」という感覚を初めて味わい、覚えていく離乳食ですが、噛むことや飲みこむことなどまだまだ未熟でどんなものが食べやすいかわからないことが多いと思います。
ここでは離乳食の進め方を基本の目安として紹介します。あくまで目安なので、すべての赤ちゃんに適しているものではありませんが、離乳食を進めるうえで大切なことをまとめています。
これを読んでいただいた上で、健康診断などで不安なところを聞くようにすると、担当の医師や管理栄養士からより具体的に赤ちゃんにあった食事のことを聞くことができると思います。
離乳食の進め方
①離乳食を始めるまえに必ず読んでほしいこと
離乳食をこれから始めようと思っている方も、すでに始めている方も、離乳食を進めるうえで注意してほしいことがあります。まずは以下の記事に注意すべきことをまとめているので、こちらをお読みください。
②離乳食を始める目安は「生後5~6ヶ月、食べたい様子がみられたら」
離乳食は生後5~6ヶ月が目安とされていますが、それはだいたい生後5~6ヶ月あたりで離乳食を始められるくらいにまで成長するとみられるからです。
もちろん早く体制が整う子もいれば、遅い子もいます。
なので、首がすわり寝返りができるようになる生後5ヶ月あたりで、以下に着目して様子をみてください。
- 親の食べる様子をみる
- 食べものに興味がある
- スプーンを口に入れても舌で押し出そうとしなくなる
このような食べたい様子がみられたら離乳食を始める目安です。
離乳食を始めても、赤ちゃんが食べることに抵抗したり、食べることを嫌ったりなど、離乳食を始めるのが早かったと感じたら、一度離乳食を止めても大丈夫です。
数日経って、また食べたい様子がみられたら離乳食を再開してみましょう。
③離乳食の回数・量、調理方法・固さの目安
ここからは離乳食の内容を基本の目安として紹介します。
(1)離乳初期 生後5~6ヶ月
この時期の目標は、食べものを飲み込むことを知り、食べものの味や舌触りを体感し慣れることです。
また、赤ちゃんが欲しがるままに母乳・育児用ミルクを飲ませましょう。
食事回数と時間
この時期の食事回数は1日1回です。
できれば午前中に食べさせるようにしましょう。
夕方や夜に比べ、赤ちゃんになにかあった場合、時間的に医療機関が対応してくれやすいためです。
最初は小さじ1から始めます。
そこからゆっくり増やしていきましょう。
調理方法・固さ
まずはお粥をつぶしたものから始めます。
お粥をほぼ形がなくなるまでつぶしてなめらかにします。
つぶしたお粥を食べることができたら、徐々にじゃがいもやにんじんといった野菜をプラスしてみましょう。
野菜も初めは小さじ1から始めます。
お粥と同様にほぼ形がなくなるまでつぶします。
食べものには調味料で味付けする必要はなく、食材本来の味を赤ちゃんに感じてもらいましょう。
その後離乳食に慣れてきたら、お粥と野菜に加えて豆腐や白身魚なども食べてみましょう。
こちらも味付けせずにすりつぶしたものを小さじ1から始めます。
どんな食品も初めての時は小さじ1から始めるようにしましょう。
(2)離乳中期 生後7~8ヶ月
この時期の目標は、食べものの食感を知ることと、食べるという生活のリズムを作っていくことです。
母乳は赤ちゃんが欲するままに飲ませて大丈夫ですが、できるだけ離乳食の後に飲ませるようにします。
そうすることで、赤ちゃんが「お腹が空く→ご飯を食べる」という生活リズムの形成を促すことができます。
食事回数と時間
1日2回、午前中と午後に摂るようにします。
食事の間隔が毎日ばらばらにならないように、できればある程度決まった時間に食べるといいです。
スプーンは離乳食用の平らなものをおすすめします。
赤ちゃんの下唇にスプーンをのせて、赤ちゃんが上唇を閉じるまで待って食べさせるようにします。
調理方法・固さ
食感を赤ちゃんに味わってもらえるように、少しだけ食べものの固さを残します。
とはいっても舌で潰せる程度の固さで、無理に形を残そうとしすぎない方が食べやすいでしょう。
1食で、「主食(お粥)」、「副菜(野菜)」を基本に「主菜(白身魚や豆腐など)」を合わせて、いろいろな食品を知ってもらえるように食べさせましょう。
赤ちゃんのために特別料理をするのではなく、
ご家族で食べる食事を、料理するときに味付ける前に赤ちゃん用にとりわけて、小鉢でつぶすように調理すれば大丈夫です。
赤ちゃんが初めて食べる食品は、小さじ1から始めましょう。
1食の量はそれぞれ
- お粥・・・50g 様子をみながら80g程度まで増やしていく
- 野菜・・・20~30g
- おかず
- 白身魚、肉・・・10~15g
- 豆腐・・・30~40g
- 卵黄・・・30g (全卵で1/3個)
- 乳製品・・・50~70g
を目安にしましょう。
この時期から魚や肉、乳製品も摂ってみましょう。
これらは脂質の量が少ないものから進めていくように、以下の順番で摂っていきます。
- 魚・・・白身魚→赤身魚→青皮魚
- 肉・・・鶏むね肉→鶏もも肉→豚肉→牛肉
- 乳製品・・・ヨーグルト(無糖)→チーズ(できるだけ無塩、低脂肪)
牛乳は1歳を過ぎてから摂るようにするといいです(鉄欠乏性貧血予防のため推奨されています)。
また、野菜に加え、果物も食べてもいいです。果物も初めて食べる食品の場合は一口だけ食べさせて、慣れるようにしましょう。
ただ刺激の強すぎるものは控えておきましょう。
(3)離乳後期 生後9~11ヶ月
この時期の目標は、食べものを噛むことを知り、1日3回の食事リズムを作ることです。
スプーンで食べさせるとともに、手づかみで食べる様子がみられたら積極的に手づかみ食べをさせましょう。
手づかみ食べは、赤ちゃんにとって食べものの関心や自分で食べる意欲を高める重要なものです。
きたない食べ方ではなく、お子様の成長に欠かせない大切な食行動なので、お子様がめいっぱい手づかみ食べできるように見守りましょう。
また、この時期も母乳は食後にお子様の欲するままに飲ませて大丈夫です。
食事回数と時間
1日3回を、家族と一緒の時間に食べましょう。
家族と食べることで、より食事の楽しさを赤ちゃんに感じてもらえます。
手づかみ食べを見守りつつ、
食べさせるときのスプーンは、平たいものから丸みのあるものに替えて、赤ちゃんの口が閉じるのを待つように食べさせます。
調理方法・固さ
離乳食の中期と同様に「主食(お粥もしくは軟らかく炊いたご飯)」、「副菜(野菜)」、「主菜(肉や魚、豆腐、卵など)」を組み合わせましょう。
この時期からご飯はお粥から徐々に軟らかく炊いたご飯に移行していきましょう。
1食の量はそれぞれ
- お粥・・・90g 軟らかく炊いたご飯ならば80g程度
- 野菜・・・30~40g
- おかず
- 白身魚、肉・・・15g
- 豆腐・・・45g
- 全卵・・・1/2個
- 乳製品・・・80g
を目安にしましょう。
ここでも赤ちゃんに特別な食事を用意するのではなく、ご家族の食事を料理するときに味付けする前に赤ちゃんの分をとりわけたものを摂ってもらえば大丈夫です。
この時期から赤ちゃんの食事も味付けして大丈夫ですが、
味付けはこんぶやかつお節などのうま味とし、だじの味を付けるようにします。
塩や砂糖といった調味料は、食材本来の風味を崩さない程度の薄味にしましょう。
味付けは今でなくても、赤ちゃんが成長していく上で今後どこかで経験します。
今の時期は調味料の味を覚えることが目標ではないので留意しておいてください。
④離乳の完了の目安
授乳・離乳の支援ガイドでは、離乳の完了を以下のように説明しています。
離乳の完了とは、形のある食物をかみつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳又は育児用ミルク以外の食物から摂取できるようになった状態をいう。
厚生労働省『授乳・離乳の支援ガイド2019年3月』
赤ちゃんが必要な栄養を食事からしっかりと摂ることができるようになったとき、離乳が完了します。
ただし、赤ちゃんが欲するならば母乳は飲んでも大丈夫です。
この時期から徐々に赤ちゃんが欲しなくなり、母乳・育児用ミルクを飲まなくなったら卒乳を迎えます。
離乳の完了は生後12~18ヵ月頃が目安です。
1日3回の食事に加え、必要に応じて1~2回程度補食を摂りましょう。
この時期から徐々にスプーンやフォークを使って食べられるようになってきます。
スプーンやフォークを始めても、手づかみ食べは止めずに見守りましょう。
まとめ
○離乳食は生後5~6ヶ月あたりから、お子様の成長に合わせて始める
○離乳食時期の目標にあわせて少しずつ
○離乳食の目安を基本に、医師や管理栄養士に聞きながらお子様に合わせて進める
以上、「管理栄養士がすすめる離乳食の進め方」を紹介しました。
繰り返しますが、お子様の成長には個性があり、ひとりひとり異なります。
離乳食も同じで、それぞれのお子様によって進め方違って当然です。
この記事を読んで目安を知っていただき、その上でお子様に合わせながら進めてください。
参考文献
厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド 2019年3月